空が抜けるように青い。

高い位置にある太陽が白い光を私たちの町に投げかける。私は鞄を掲げて日差しを遮りながら半ドンの帰り道を進む。

 

突然のことだった。甲高いサイレンの音が耳を通して脳を突き刺す。道を行く人々が足を止める。どこかで悲鳴が上がる。商店街の喧騒も、カラオケ屋のBGMもかき消される。何かが壊れる音、怒声、混乱。軸となっているのはサイレンで、その警報音ばかりが確実なものだった。

 

町の人たちは何も音に驚いてこんなに取り乱しているわけではない。

南の空、太陽の白い光輝を背にしてやってきた巨大な黒い影に脅かされているのだ。それは風を切ってやってきた。目を焼く地面の照り返しも、容赦なく肌を焦がす日差しも黒く塗りつぶす平和な日常の侵略者。

 

今年もやってきた、麦茶の襲来だ。